ふるさと納税は、寄付したい自治体を選択して寄付することで、住民税の控除や所得税の還付が受けられる制度です。
また、寄付すると自治体から返礼品が受け取れるほか控除や還付の、年度末になるとふるさと納税をする人も少なくありません。
控除や還付をうける場合は、控除上限額の範囲内で受けることになります。
今回は、ふるさと納税の控除や還付を受ける人のために、控除上限額について解説します。
正しく寄付金控除を受けるためにも、内容をしっかり把握したうえでふるさと納税をしましょう。
ふるさと納税に限度額はある?
ふるさと納税は、控除上限額が存在し、寄付者の所得状況や家族構成によって変動します。
そのため、ふるさと納税をする際は、事前に限度額を把握したうえで適切な金額の寄付をしましょう。
万が一、控除上限額を超えた寄付をした場合は、超えた分は控除の範囲外になるので注意が必要です。
ふるさと納税の控除上限額を知る方法は、以下の2つがあります。
【ふるさと納税の限度額を確認する方法】
- 早見表を確認する
- シミュレーションツールを使用する
自分で計算する方法もありますが、手間がかかるのでおすすめしません。
ネットには、ボタン一つで控除上限額が出せるツールがあるので、そちらを利用しましょう。
早見表を確認する
ふるさと納税の控除上限額は、早見表で確認できます。
医療費控除や住宅ローン控除を受けていない場合に限りますが、所得と家族構成を例に総務省の早見表を抜粋しました。
所得 | 独身 | 配偶者あり | 共働き+18歳未満の子供1人 | 共働き+18~22歳の子ども1人 |
300万円 | 28,000 | 19,000 | 19,000 | 15,000 |
400万円 | 42,000 | 33,000 | 33,000 | 29,000 |
500万円 | 61,000 | 49,000 | 49,000 | 44,000 |
600万円 | 77,000 | 69,000 | 69,000 | 66,000 |
700万円 | 108,000 | 86,000 | 86,000 | 83,000 |
800万円 | 129,000 | 120,000 | 120,000 | 116,000 |
900万円 | 152,000 | 143,000 | 141,000 | 138,000 |
1000万円 | 180,000 | 171,000 | 166,000 | 163,000 |
1100万円 | 218,000 | 202,000 | 194,000 | 191,000 |
1200万円 | 247,000 | 247,000 | 232,000 | 229,000 |
1300万円 | 326,000 | 326,000 | 261,000 | 258,000 |
1400万円 | 360,000 | 360,000 | 343,000 | 339,000 |
1500万円 | 395,000 | 395,000 | 377,000 | 373,000 |
1600万円 | 429,000 | 429,000 | 412,000 | 408,000 |
1700万円 | 463,000 | 463,000 | 446,000 | 442,000 |
1800万円 | 498,000 | 498,000 | 481,000 | 477,000 |
1900万円 | 533,000 | 533,000 | 516,000 | 512,000 |
2000万円 | 569,000 | 569,000 | 552,000 | 548,000 |
2100万円 | 604,000 | 604,000 | 587,000 | 583,000 |
2200万円 | 640,000 | 640,000 | 623,000 | 619,000 |
2300万円 | 773,000 | 773,000 | 754,000 | 749,000 |
2400万円 | 814,000 | 814,000 | 795,000 | 790,000 |
2500万円 | 855,000 | 855,000 | 835,000 | 830,000 |
所得が高いほど控除上限額は高くなり、家族構成などでも変動します。
詳細については、総務省のページより確認できるので、ふるさと納税を利用する前に確認しておきましょう。
シミュレーションツールを使用する
控除上限額は、シミュレーションツールで計算ができます。
ふるさとチョイスやさとふるといった、ふるさと納税のポータルサイトで公開されている機能です。
こちらを使用すれば、早見表を確認しなくても、控除上限額がわかります。
使い方は簡単で、各項目を入力して計算ボタンを押すだけです。
このように、さまざまな入力項目があります。
入力が完了して、計算ボタンを押すと控除上限額が表示される仕組みです。
ふるさと納税では、控除上限額を事前に把握しておくことが重要なので、シミュレーションツールを使うなどして、把握しておきましょう。
ふるさと納税の仕組み
ふるさと納税は、好きな自治体に一定額の寄付をして、寄付金控除を受ける制度です。
控除上限額の範囲であれば、自己負担額2,000円を差し引いた金額が控除されます。
例えば、自治体に30,000円寄付した場合は、28,000円が控除の対象です。
それにプラスして、寄付した自治体の返礼品を受け取れるので、実質2,000円分自己負担するだけで、来年度の住民税の支払いが減り、おいしい特産品を楽しめるわけです。
限度額を超えた場合は寄付金控除は使えない?
ふるさと納税で定められている控除上限額を超えた寄付をすると、寄付金控除は使えません。
つまり、限度額を超えた寄付をした場合、超えた金額は全額負担する必要があります。
限度額は収入や家族構成によって決められているので、納税前に把握しておく必要があります。
例えば、年間50,000円の寄付金控除が受けられる場合、50,000円が控除上限額です。
2,000円の自己負担を加味すると、52,000円までの寄付ができます。
しかし、誤って60,000円分の寄付をしてしまった場合、58,000円寄付することになります。
限度額が50,000円なので、8,000円は自己負担しなければなりません。
このようなトラブルを避ける意味でも、必ず控除上限額を把握しておきましょう。
控除上限額が超えたかどうかを確認する方法
あらかじめ計算して納税していれば、控除上限額を超すことはありません。
しかし、仕組みを知らずに納税していた人や、これからふるさと納税を利用しようと思っている人は、仕組みがいまいちわからないことも多いと思います。
そこで、控除上限額が超えたかどうかを把握する方法を紹介します。
【ふるさと納税の控除上限額が肥えたかどうかを各印する方法】
- 源泉徴収票を確認する
- 住民税決定通知表で確認する
寄付金控除を最大限受けるためにも、必ず把握しておきましょう。
源泉徴収票を確認する
給与所得者であれば、例年12月に源泉徴収票が発行されます。
その際に今年度の所得がわかるので、シミュレーションツールや早見表で控除上限額を確認しましょう。
まだふるさと納税をしていない場合は、12月31日までであれば来年度の寄付金控除の対象になります。
お得にふるさと納税をするポイントは、控除上限額まで寄付することです。
直前でも控除の対象になるため、源泉徴収票が発行されたタイミングで確認することをおすすめします。
住民税決定通知書で確認する
毎年5~6月に、自治体から住民税決定通知書が届きます。
決定通知書には、住民税の金額と内訳が掲載されており、控除額も確認可能です。
前年度にふるさと納税をしている場合、寄付金控除の内容も通知書に掲載されています。
例えば、50,000円のふるさと納税をした場合、自己負担額2,000円を差し引いた金額の48,000円が控除されます。
通知書を見て、控除された金額と寄付した金額が同じなら、控除上限額の範囲でふるさと納税ができているということです。
しかし、50,000円の寄付に対し、寄付金以下の控除しかされていない場合は、控除上限額を超過したふるさと納税をしている可能性があります。
超えていた場合は、来年度超えないように控除上限額を計算したうえで、寄付するとよいでしょう。
ふるさと納税の控除額を計算する方法
ふるさと納税の控除額は、手動で計算できます。
還付される寄付金や、控除される住民税の額を把握する意味でも、計算方法を把握しておきましょう。
今回は、還付金の計算方法と、住民税の控除額を基本・特定と合わせて紹介します。
前もって支払う税金を把握しておきたい人は、参考にしてください。
還付金の計算
ふるさと納税で確定申告をすると、所得税の還付が受けられます。
その場合、以下の計算式で計算できます。
【所得税の還付額の計算】
- (ふるさと納税の寄付額-自己負担額2,000円)×所得税率
例えば、年収1,000万円の人がふるさと納税で10万円寄付したとします。
その場合の還付額は、以下のとおりです。
【年収1,000万円の場合の還付額】
- (100,000円-2,000円)×33%(所得税率)=32,340円
所得税率は、累進課税方式になっており、所得が高いほど上がります。
詳しい税率については、国税庁のホームページで確認できます。
住民税控除額の計算
住民税は、基本分と特例分に分けられており、控除はそれぞれで計算されます。
基本分の計算方法は、以下のとおりです。
【住民税の控除額(基本分)の計算】
- (ふるさと納税の寄付額-自己負担額2,000円)×10%
基本分は自治体問わず10%で固定されています。
10万円の寄付をした場合、以下の計算式になります。
【10万円をした場合の控除額】
- (100,000円-2,000円)×10%=9,800円
特例分の計算式は、以下のとおりです。
【住民税の控除額(特例分)の計算式】
- (ふるさと納税の寄付金額-2,000円)×(90%-所得税率)
年収1,000万円の人が10万円寄付した場合、以下の計算式になります。
【年収1,000万円の人が10万円寄付した場合の控除額】
- (100,000円-2,000円)×(90%-33%)=55,860円
この場合、基本分の9,800円と特例分の55,860円を足した、65,660円が来年度の住民税から控除されることになります。
ふるさと納税の控除上限額を計算する際の注意点
ふるさと納税は、一般的に別途控除を受けていない人を想定した制度です。
しかし、医療費控除と住宅ローン控除を受けている場合、ふるさと納税で受けられる控除額が減る可能性があります。
そこで、医療費控除と住宅ローン控除を例に、どのくらい控除上限額が変動するのかを紹介します。
医療費控除
年間10万円以上医療負担があると、医療費控除の対象になります。
医療費控除とふるさと納税の併用は可能ですが、控除額がおおよそ2~5%低くなります。
例えば、医療費控除の金額が50,000円と計算されたとしましょう。
その際は、1,000~2,500円ほど控除上限額が少なくなります。
正しい控除額については、自治体に確認することをおすすめします。
住宅ローン控除
住宅ローンを組んで家を建てる場合、所得税で大幅な控除を受けられます。
所得税の控除額を上回る場合は、住民税からも控除されるため、ふるさと納税をする場合、控除上限額が大きく変動します。
例えば、住宅ローン控除によって来年度支払う所得税が0円になった場合、ふるさと納税では控除されません。
しかし、住民税の控除額を上回っていない場合は、その範囲内でふるさと納税でも控除が受けられます。
そのため、住宅ローン控除を受けた後でも、住民税がどのくらい控除されるのかを計算して、ふるさと納税で控除が受けられるのか確認しましょう。
ふるさと納税でおすすめの返礼品は?
ふるさと納税をすると、各自治体から返礼品を受け取れます。
自治体によって返礼品はさまざまで、食品から日用品まであります。
なかでも、例年人気がある自治体は北海道です。
北海道のふるさと納税は、地域の特性を生かしたものが多く、海鮮や食肉などが有名です。
サケやエゾシカなどのジビエで有名な標津町では、新鮮ないくらやエビといった海鮮を返礼品として用意しています。
普段注文しないような特産品でも、ふるさと納税であれば気軽に頼めるのでおすすめです。
そのほかにも、さまざまな特産品があるので、ふるさと納税をする際はポータルサイトで確認することをおすすめします!
まとめ
ふるさと納税には、控除上限額があります。
上限額は、寄付者の所得と家族構成によって異なります。
控除上限額の範囲であれば、来年度の住民税の控除が受けられたり、所得税の還付が受けられたりします。
逆に、控除上限額を超えた寄付金に関しては、すべて負担しなければなりません。
そのため、ふるさと納税をするなら、事前に上限額について把握しておきましょう。
上限額ギリギリまで寄付することで、損することなくふるさと納税の制度を最大限活用できます!