「未利用魚を食べてみたい」「未利用魚を購入できるネットショップを知りたい」と思っている方はいませんか?フードロス削減や、サステナブルな食への関心が高まる昨今、日本各地の「未利用魚」が注目を浴びています。
この記事では、未利用魚を使った美味しい加工品と、未利用魚が手に入る通販サイトやサブスクをご紹介します。さらに、未利用魚の有効活用がどんな未来に繋がっているのかもお伝えします。
未利用魚のことが気になるけど、何から試せばよいかわからない人は、ぜひ最後までお読みください。
もくじ
未利用魚とは
未利用魚とは、理由があって消費者のもとに届かない魚のことです。
未利用魚が利用されない主な理由はこちらです。
- サイズが小さすぎる・大きすぎる
- 漁獲量が少なすぎる・多すぎる
- 傷があって見た目が悪い
- 下処理に時間がかかる
このように、未利用魚は、味に問題があるわけではありません。一般的に流通している魚と同じく、その美味しさは保証済みです。中には、地元の人しか味わうことのできない高級魚も含まれています。
未利用魚の加工品
ここでは、全国各地の未利用魚を使った加工品をご紹介します。未利用魚の弱点を上手くカバーした加工技術や、地域性にこだわった味付けに要注目です。
今朝の浜
画像引用元:「シーライフ」オンラインストア
「今朝の浜」は、島根県浜田市の水産加工業者「シーライフ」の商品です。地元漁港で水揚げされた新鮮な未利用魚が水煮缶になりました。
シーライフの代表である河上さんは、「資源を最大限に活用するために浜田港で水揚げされた未利用魚をその日のうちに全て買い取って水煮缶にすることにした」と語っています。
シーライフがこれまでに扱ってきた未利用魚の数は約50種類。キンタロウ、シイラ、ダツ、フエフキダイ、ホウボウ、レンコダイなどが、美味い水煮缶に加工されてきました。選ばれた素材には、地元の消費者にも知られていないレアな魚も含まれています。
味付けに使われているのは、地元の海水から作った「浜守の塩」のみ。シンプルな味付けが、素材の持ち味を引き立てます。
五島のフィッシュハム
画像引用元:「浜口水産」オンラインショップ
長崎県五島列島で練り物などを作る水産加工会社「浜口水産」と、Tポイント・ジャパンが共同開発した商品が「五島のフィッシュハム」です。
五島列島の漁業では、獲った魚を輸送する際に時間とコストがかかるという、離島ならではの問題を抱えていました。利益率の高い高級魚ばかりが注目され、利益の出ない未利用魚は、船や港で捨てられることが多かったのです。
フィッシュハムに使われている素材はアイゴ、ブダイ、ニザダイ、イスズミなど。地元の定置網漁で獲れた未利用魚を100%使用しています。化学調味料無添加で、保存料やつなぎも使用していないため、新鮮な魚の旨味にあふれています。
黒胡椒・ハーブ・塩レモンの風味が大人の味。ビールとの相性を考えて作られている五島のフィッシュハムは、晩酌のお供にもぴったりです。
アイゴあふれるオイル漬
画像引用元:Vみんなのエシカルフードラボ|愛媛県八幡浜市の未利用魚プロジェクト
愛媛県八幡浜市発の「アイゴあふれるオイル漬け」は、その名のとおり、八幡浜市で獲れるアイゴを使用しています。未利用魚の代表格でもあるアイゴは、鮮度が落ちると磯臭さが強くなるのが欠点でした。
そこで辿り着いたのが、新鮮なアイゴを一口サイズし、オリーブオイルに漬けて火入れする加工方法。白身の中でも濃厚な旨味をもち、火を入れてもかたくならないアイゴは、オイル漬けにぴったりなのです。愛媛県大洲市にある「梶田醤油」の木桶仕込み醤油と、八幡浜産の温州みかんの皮が味のアクセントになっています。
サラダや冷奴にのせて冷たいままでも、加熱してアヒージョやパスタのトッピングとしても美味しくお召し上がりいただけます。和から洋までアレンジの幅が広がり、素材が未利用魚であることが信じられないほどです。
コノシロやわらか煮
画像引用元:Vみんなのエシカルフードラボ|千葉県船橋市の未利用魚プロジェクト
「コノシロのやわらか煮」は、千葉県船橋市の漁港で水揚げされる、東京湾のコノシロを活用した商品です。味付けは、千葉県産の生姜と醤油(老舗「ちば醤油」と下総醤油)、酒、みりん、てんさい糖のみ。調味料にも地元産のものを使うこだわりが伺えます。
コノシロは、ニシン科の魚で、シンコ→コハダ→コノシロと名前を変える出世魚です。一般的な出世魚は成長とともに価値が上がっていきますが、コノシロは違います。シンコやコハダは江戸前寿司の高級ネタですが、コノシロまで成長すると、小骨が当たるようになり敬遠されてしまうのです。
そんなコノシロを美味しく食べるために考えついたのが、高温高圧加工です。コノシロのやわらか煮は、硬い骨まで丸ごと食べられるので、魚の栄養を余すことなく取り入れることができます。カルシウム不足が気になる、成長期のお子さんにもピッタリです。
しゃけをのTHE北海道だし
画像引用元:株式会社しゃけを商品紹介ページ
「しゃけをのTHE北海道だし」は、北海道標津町にある「株式会社しゃけを」と「波心会」が共同開発した商品です。北海道のソウルフード「かじか汁」の主役であるカジカを、料理に使える出汁に生まれ変わらせました。北海道標津町の鮭節をメインに、かじか出汁、北海道産真昆布、国産しいたけの4種類の出汁をブレンドしています。
この出汁で使用しているのは、カジカの中でも値が付きにくい、ゴモカジカ(ギスカジカ)とシラミカジカ(オクカジカ)。カジカは種類が多く、中には1キロ5円ほどにしかならない未利用魚もいるのです。
なお、この出汁には、北海道で獲れるカジカの代表格であり「なべこわし」とも呼ばれる、マカジカ(トゲカジカ)も使用しています。
しゃけをでは、他にも「魚と野菜のふりかけ」や、カジカを100%使用した「かじかだし粉末」「かじかだしフレーク」も販売しています。また、かじか出汁を使ったカレーや味噌汁といった商品も考案中です。さらに、カジカを内臓まで丸ごと使った魚醤も開発中とのことで、未利用魚であるカジカのさらなる可能性に期待が寄せられています。
未利用魚が手に入る通販サイト
ここでは、未利用魚を取り扱っている通販サイトをご紹介します。ネット上ではありますが、どれも生産者さんとの繋がりを感じられる産地直送サイトです。ほとんどの場合、下処理されていない未利用魚が届くので、魚を捌ける方におすすめです。
「食べチョク」
画像引用元:食べチョク公式サイト
未利用魚を探すときには、「食品ロス削減」のページにある未利用魚特集が便利です。
「ポケットマルシェ」
画像引用元:ポケットマルシェ公式サイト
規格外を取り扱う「訳ありポケマルシェ」では、未利用魚も多数入荷しています。何が入っているか届くまでわからない「魚ガチャ」も人気商品です。
「産直アウル」
画像引用元:産直アウル公式サイト
注文を入れておけば、魚が獲れ次第発送してくれる生産者さんもいます。訳ありの理由や、おすすめの食べ方を教えてくれるので安心です。
未利用魚が味わえるサブスク
ここでは、未利用魚やその加工品が定期的に届くサブスクサービスをご紹介します。何が届くかは箱を開けてからのお楽しみ。いろんな未利用魚を味わえて、食卓も豊かになるはずです。
「FISHLLE!(フィシュル!)」
画像引用元:フィシュル!公式サイト
福岡県発のフィシュル!は、未利用魚のミールキットが届くサブスクサービスです。水揚げしたその日に加工し、瞬間冷凍したものがご自宅に届きます。全て下処理済み・下味付きなので、忙しい方の時短料理にもおすすめです。
調味料は基本九州産。タイのカルパッチョや、ワカナゴやブリの幼魚の味噌漬けなど、季節に合わせて約20種類の商品を展開しています。
「らでぃっしゅぼーや」
画像引用元:らでぃっしゅぼーや公式サイト
「海のふぞろいレスキューコース」では、未利用魚やその加工品が毎週届きます。未加工で届く魚もレシピ付きなので安心です。
未利用魚の加工品開発に込められた想い
未利用魚の加工品開発に携わる人達は、皆、プロジェクトや商品にかける熱い想いを持っています。
彼らの想いは
「地元の漁業の課題を解決したい」
「地元のこと、漁業のことを知ってもらいたい」
「日本の持続可能な水資源のために行動したい」など様々です。
味付けに地元産の調味料を使い、地元の企業とタッグを組むことで、「地域の活性化にも貢献したい」という想いもあるでしょう。
未利用魚の有効活用は、日本の漁業を救い、日本の食文化を守る活動でもあるのです。
未利用魚の美味しさを体験しよう!
この記事では主に、未利用魚の加工品を紹介してきました。未利用魚の加工品開発は一筋縄ではいきません。商品の一つ一つが、生産者の想いと努力の結晶なのです。
このように、日本各地で未利用魚を活用する取り組みが広まりつつあるのは、とても嬉しいことです。未利用魚は、美味しいだけでなく、日本の漁業や貴重な水資源を守る可能性も秘めているからです。
私たち消費者は、未利用魚を手に取り味わうことで、未利用魚の有効活用の一端を担うことができます。今回紹介した加工品の中に気になるものがあったら、ぜひ一度お試しください。通販やサブスクを活用して、未利用魚の美味しさを体験してみましょう!