道東トレイル

道東トレイルついに開通!エリアごとの見どころをたっぷりとご紹介します

2024年10月、北海道の知床から釧路湿原を結ぶ、全長410kmのロングトレイルコース「道東トレイル」がついに開通しました。

この記事では、息を飲む絶景や癒しの温泉街など、道東トレイルの見どころをたっぷりとご紹介します。

北海道の大自然を思い描きながら記事を読み進めれば、きっと今すぐ道東を歩きたくなるはずです!

道東トレイルとは

道東トレイル

画像引用元:道東トレイル|読売新聞

道東トレイルとは、知床国立公園・阿寒摩周国立公園・釧路湿原国立公園を結ぶ全長410kmのトレッキングコースです。3つの国立公園を結ぶルートは国内初。以前から、摩周屈斜路トレイルは整備されていましたが、この度さらにコースを延長し、道東を南北に縦断できるようになりました。

道東トレイルは、世界水準のロングトレイルとしてブランド化を目指しています。これにより、道東に新たな観光価値を創出することができるでしょう。

また、道東トレイル開通を記念して「道東スルーハイカーズ」という企画が開催されました。2024年10月10日〜30日の日程で、道東トレイルの全行程を歩くというものです。

詳しくは公式サイトをご覧ください。

公式サイト:道東スルーハイカーズ doto hikers — BuenCamino!

道東トレイルならではの魅力

道東トレイルの魅力は、3つの海(オホーツク海・根室海峡・太平洋)と5つのエリア(海エリア・畑作エリア・カルデラエリア・酪農エリア・湿原エリア)を楽しめることです。

山や海だけに特化したトレイルは国内にも存在しますが、これほどまでに多様なエリアを楽しめるのは、道東トレイルならではと言えるでしょう。

道東トレイルの全行程を歩くとなると、3週間ほどかかります。各地の温泉に癒されたり、地元の食事を堪能したり、地域の人との触れ合いが充実したりするのも、ロングトレイルの魅力と言えます。

また、多種多様なキャンプ場が多い道東。テント泊をしながらロングトレイルを制覇するのも面白いかもしれません。

【道東トレイルコース】各エリアの見どころ

ここからは、道東トレイルのコースを北から南にたどりながら、各エリアの見どころをご紹介します。

海エリア

ここでは、根室海峡とオホーツク海、知床国立公園を含む「海エリア」のスポットをご紹介します。

しおかぜ公園

しおかぜ公園

画像引用元:しおかぜ公園|羅臼町公式サイト

羅臼町にあるしおかぜ公園は、根室海峡と国後島が一望できる公園です。

公園内にある銅像「オホーツク老人」は、羅臼が舞台となった昭和の映画「地の涯(はて)に生きるもの」の主演をつとめた、森繁久彌氏がモデルとなっています。

他にも、「知床旅情」の歌碑があるしおかぜ公園は、道東トレイルの終着点にふさわしい旅情にあふれた公園と言えるでしょう。

知床峠

知床峠

画像引用元::知床峠|【公式】北海道の観光・旅行情報サイト

知床峠は、斜里町ウトロと羅臼町を結ぶ国道334号の峠で、知床八景の1つです。標高738mの頂上からは、真正面に羅臼岳、眼下に新緑の大樹海、天気が良ければ根室海峡と国後島を望めます。

運がよければ、世界自然遺産に生息する野生動物に出会えるかもしれません。くれぐれも、ヒグマには注意してくださいね。

知床世界遺産センター

知床世界遺産センター

画像引用元:知床世界遺産センター|知床世界遺産センター公式サイト

平成17年7月、知床は「流氷が育む豊かな海と陸の生態系の繋がり」が評価されて、世界遺産に登録されました。知床世界遺産センターでは、そんな知床の見どころやリアルタイムの姿、管理状況の最新情報を発信しています。

知床世界遺産センターに立ち寄れば、道東トレイルで知床を歩くのがより楽しくなるはずです。

オシンコシンの滝

オシンコシンの滝

画像引用元:オシンコシンの滝|【公式】北海道の観光・旅行情報サイト

知床八景の1つで、知床最大の滝であるオシンコシンの滝。落差約80m・幅30mのオシンコシンの滝は、途中から流れが2つに分かれていることから「双美の滝」とも呼ばれています。

階段で滝の中ほどまで登れば、水しぶきがかかるほど滝に近づくことができます。知床最大の滝の迫力をぜひ、体感してみてください。新緑の季節は雪解けで水かさが増し、迫力がアップしますよ。

滝の上には、オホーツク海や知床の山々を一望できる展望台もあります。

畑作エリア

次に紹介するのは、斜里岳の裾野に広がる畑作エリアです。

天に続く道

天に続く道

画像引用元:天国に続く道|【公式】北海道の観光・旅行情報サイト

天国に続く道は、知床半島の付け根に位置する、全長約28㎞の直線道路です。「果てしなく続く道がまるで天にまで続いているように見える」ことから、この名前が付けられました。

丘の頂上にある「名も無き展望台」からは、天国に続く道とオホーツク海、一面に広がる田畑を一望できます。

1年に2回、春分と秋分の日には、道の延長上に夕日が沈むという奇跡の瞬間を見ることができます。

来運神社

画像引用元:来運神社|Googleマップ

来運神社は、いずみの森来運公園の中にあります。自然のままの木々が生い茂り「アイヌの神が宿る」と言われているパワースポットでもあります。

境内に湧く斜里岳の伏流水は「来運の水」として愛されています。飲めば「運が来て願い事が叶う」とも。トレイルの休憩に一口含めば、全身にパワーがみなぎるでしょう。来運の水でコーヒーを淹れるのもおすすめです。

さくらの滝

さくらの滝

画像引用元:さくらの滝|きよさと観光協会

斜里郡清里町にあるさくらの滝は、故郷の川に戻ってきたサクラマスの、滝越えジャンプを見られるスポットです。さくらの滝には、毎年6月から8月にかけて、3,000匹のサクラマスが戻ってきます。

滝の高さはおよそ2.5m。体長50cmほどのサクラマスにとって、自分の体長の5倍の高さまでジャンプするのは簡単なことではありません。ゆえに、滝越えに成功するサクラマスはわずか1割と言われています。

何度失敗しても諦めないサクラマスの生命力に、感動せずにはいられません。

カルデラエリア

カルデラエリアでは、摩周湖と、日本最大のカルデラ湖である屈斜路湖の外輪山をぐるりとめぐります。全長50kmの摩周屈斜路トレイルは、尾根伝いに進むため、比較的高低差の少ないコースです。

神の子池

神の子池

画像引用元:神の子池|きよさと観光協会

神の子池は、摩周湖からの地下水が湧き出てできた、周囲220mの池です。アイヌ語で「カムイト=神の湖」と呼ばれる摩周湖の伏流水であることから、この名前が付けられました。

神の子池は冬でも凍らず、その透明度は、水深5mの底まで見えるほどです。池の中には、腐らずに沈んでいる倒木と、その間を泳ぐオショロコマの姿が見られます。池の水のエメラルドと、初夏のオショロコマのピンクの斑点が、まるで絵画のような美しさです。

裏摩周展望台

画像引用元:裏摩周展望台|きよさと観光協会

周囲20㎞にもなる摩周湖には、3つの展望台があります。裏摩周展望台は中標津町と清里町の境に位置した展望台で、 弟子屈町にある第一展望台の反対側に位置します。

3つの展望台の中で最も標高が低いため、霧の発生が少なく、神秘的な湖面を望めるのが特徴です。

摩周湖第一展望台

画像引用元:摩周湖第一展望台|【公式】北海道の観光・旅行情報サイト

3つの展望台の中で特に人気なのが、摩周湖第一展望台、通称「表摩周」です。冬になると他の展望台は通行止めになりますが、摩周湖第一展望台は一年を通じて立ち入りOK。

2022年の夏に改装オープンした「摩周湖カムイテラス」では、ウッドデッキにあるベンチに座って摩周湖を眺められます。運が良ければ、早朝に発生する雲海が見られることも。

また、この周囲は絶好の星空観賞スポットでもあります。晴れた日の夜、頭上いっぱいに広がる満天の星をご堪能ください。

川湯温泉

川湯温泉

画像引用元:川湯温泉|【公式】北海道の観光・旅行情報サイト

トレッキングの疲れには、源泉かけ流しの温泉が一番ですよね。阿寒摩周国立公園に位置する川湯温泉は、東に摩周湖・西に屈斜路湖を望む、大自然に囲まれた温泉街です。源泉は、今も活動を続ける硫黄山で、優れた殺菌効果のある硫黄泉を楽しむことができます。

道東トレイルの宿泊ポイントとしてもおすすめの場所です。

藻琴山

藻琴山

画像引用元:藻琴山|小清水町観光情報

標高1,000mの藻琴山は、屈斜路カルデラ外輪山の中で最も標高が高く「北海道自然100選」にも選ばれている山です。

藻琴山には5つの登山ルートが整備されています。中でも「スカイライン遊歩道」は人気のトレイルコースで、左手に屈斜路湖を眺めながら、尾根伝いに歩くことができます。

美幌峠

画像引用元:美幌峠|【公式】北海道の観光・旅行情報

弟子屈町と美幌町の境界線上、屈斜路カルデラの外輪山にある美幌峠。標高525mの展望台からは、屈斜路湖に浮かぶ中島、天気がよければ硫黄山や斜里岳、十勝岳まで見渡すことができます。気象条件が合えば早朝の雲海を見られることも。

近くにある道の駅「ぐるっとパノラマ美幌峠」では、美幌町の食材を使った料理が味わえます。

津別峠

画像引用元:津別峠|【公式】北海道の観光・旅行情報サイト

津別峠は、津別町と弟子屈町の間にある標高947mの峠です。眼下に屈斜路湖が広がり、晴れた日には、オホーツク海から知床連山・大雪山まで、360度のパノラマが楽しめます。

「津別峠展望施設」は、屈斜路カルデラの外輪山にある峠の中ではもっとも標高が高いため、雲海を見られる日が多いのも特徴です。特に、雲海の中から昇る朝日は絶景中の絶景です。

道の駅摩周温泉

画像引用元:道の駅摩周温泉公式サイト

道の駅摩周温泉は、阿寒湖と摩周湖とを結ぶ国道241号と、243号、391号のほぼ合流地点にあります。名物は、地元の食材を使った「えぞしかバーガー」や「ジェラートアイスクリーム」。

施設内には24時間利用可能なトイレや、無料の足湯があるので、トレッキングの休憩ポイントに最適です。

阿寒湖温泉

阿寒湖温泉

画像引用元:阿寒湖温泉|【公式】北海道の観光・旅行情報サイト

100年以上の歴史をもつ阿寒湖温泉は、カルデラ湖の南のほとりに開けた温泉地です。阿寒湖温泉の特徴は、何と言っても、阿寒湖を眺めながら温泉に入れること。

周囲には、アイヌ文化に触れられる「アイヌコタン」や「アイヌシアター イコロ」、地中から水蒸気や泥湯が噴き出す「ボッケ」など、見どころが満載です。

冬のトレッキングの際には、この時期にしか見られない、湖上に咲く霜の花「フロストフラワー」をぜひご鑑賞ください。

酪農エリア

釧路川流域の山肌にそって永遠と続く酪農エリア。広大な牧草地で、牛たちがのんびりと草を食む姿は「ザ・北海道」と言える光景です。

900(きゅうまるまる)草原

900(きゅうまるまる)草原

画像引用元:900草原|弟子屈なび

900草原は、弟子屈町にある総面積1440haの町営牧場です。牧草地に放牧された約1,000
頭の乳牛がのんびりと草を食む、北海道らしい景色が広がります。

展望台からは弟子屈町の田園風景をはじめ、摩周岳や硫黄山、藻琴山、阿寒岳などの山々を一望できます。晴れている日には釧路湿原まで見渡せますよ。

多和平

多和平

画像引用元:多和平|【公式】北海道の観光・旅行情報サイト

日本を代表する大牧草地である多和平には、約1,600haの標茶町育成牧場が広がります。丘の頂点にある展望台に上れば、360度の地平線を見渡せます。

太平洋から昇る朝日や雄阿寒岳の背越しに沈む夕日を見れば、そのスケールの大きさに圧倒されるでしょう。

近くにある「グリーンヒル多和」では、標茶町のブランド肉「星空の黒牛」を味わえます。

湿原エリア

湿原エリアには、日本最大の釧路湿原が広がります。

タンチョウをはじめとする、貴重な野生動物に出会える場所です。

コッタロ湿原展望台

コッタロ湿原展望台

画像引用元:コッタロ湿原展望台|【公式】北海道の観光・旅行情報サイト

コッタロ湿原展望台は、釧路湿原を横断する、道道1060号沿いにあります。エゾシカや野鳥に出会えることも多く、望遠鏡でタンチョウの姿を観察することもできます。

目の前に広がる湿原の大パノラマをお楽しみください。

細岡展望台

細岡展望台

画像引用元:細岡展望台|【公式】北海道の観光・旅行情報サイト

釧路湿原随一の眺望を堪能できる細岡展望台。目の前には、蛇行する釧路川と緑一面の湿原が広がり、かなたには雌阿寒岳や雄阿寒岳を望めます。細岡展望台は、湿原に沈む美しい夕日が見られるスポットとしても有名です。

隣接する「細岡ビジターズラウンジ」では、釧路湿原の成り立ちが学べます。喫茶コーナーもあるので、トレッキングの休憩所としてもおすすめです。

北斗遺跡

北斗遺跡

画像引用元:北斗遺跡|Googleマップ

北斗遺跡は、釧路市街地から北西約7㎞、釧路湿原を望む段丘上にある遺跡です。過去の発掘調査では、旧石器時代の火を焚いた跡や、縄文時代の住居跡・墓などが見つかっています。近年では、アイヌの遺物も発見されました。

北斗遺跡の東側は、その規模と重要性から、国指定史跡となっています。北斗遺跡を歩きながら、アイヌから続く道東の歴史・文化に触れてみてはいかがでしょうか。

幣舞(ぬさまい)公園

画像引用元:幣舞公園|Googleマップ

道東トレイルの終着点となる、釧路市の幣舞公園。公園は高台に位置し、幣舞橋や釧路川、北大通りや釧路の観光施設MOOを一望できます。

「北海道」の名付け親である松浦武四郎の像が、道東のロングトレイルに挑む人にエールを送っているようです。

道東トレイルを楽しむうえでの注意点

道東トレイルを安全に楽しむうえで、次のことに気をつけましょう。

  • 気象の変動
  • 倒木や交通事故
  • ヒグマ、マダニ、ハチ、アブなどの危険生物
  • 国有林林道区間の通行の規定を守る
  • 地域に暮らす人へ配慮する
  • 無理のないペースで歩く

トレイルコースの中には、標高の高い場所も含まれます。急な天候の変化にも対応できるよう、装備を整えましょう。冬季のトレイルは特に気をつけてください。

また、北海道ならではの危険として、ヒグマの出没が挙げられます。クマよけの鈴やスプレーを携行するようにしましょう。

さらに、トレイルコースには、貴重な野生動植物が生息する地域も含まれます。環境保護のためのルールを遵守するようお願いいたします。

ロングトレイルを楽しむうえで、体調管理やペース配分も大切な要素です。初心者は特に、無理のないペースで進みましょう。

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全行程を歩くもよし、スポットを決めて歩くもよし。
仲間と励ましながら歩くもよし、一人で黙々と歩くもよし。

あなたのお好きな楽しみ方で、道東トレイルを歩いてみてください。ドライブやサイクリングでは気づかなかった道東の魅力に、きっと出会えるはずです。

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