「未利用魚には何がある?」
「おすすめの食べ方が知りたい」
そんなリクエストにお応えして、代表的な未利用魚の一覧表を作りました。敬遠されがちな理由から、おすすめの食べ方もご紹介しています。
写真入りなので、”未利用魚の図鑑”として使っていただけたら嬉しいです。
この記事を読めば、今日からあなたも、未利用魚マスターになれますよ!
もくじ
未利用魚の一覧
代表的な未利用魚を、五十音順でご紹介します。
アイゴ
画像引用元:アイゴ | WEB魚図鑑
名前 | アイゴ |
大きさ | 15センチ~25センチ |
旬 | 夏 |
未利用魚になる理由 | ・毒針があり捌きづらい ・臭い |
向いている料理 | 刺身、漬け、唐揚げ、フライ、塩焼き、干物 |
未利用魚の代表格でもあるアイゴ。尾びれと背びれに「バリ」と呼ばれる毒針があり、捌きづらいのが利用されない原因です。必ず分厚い手袋をつけ、毒針をはさみで切ってから捌いていきます。
また、アイゴは海藻類を食べるため、内臓が臭いのも難点です。鮮度が落ちたり、内臓を傷つけたりすると、臭みが全身に回ってしまいます。しかし、水揚げ後にすばやく適切に処理すれば、鯛のような濃厚な旨味を味わえます。
アイゴを美味しく食べられる加工品はこちら
イラ
画像引用元:イラ|WEB魚図鑑
名前 | イラ |
大きさ | 30センチ前後 |
旬 | 通年 |
未利用魚になる理由 | ・見た目が悪い ・鱗が大きく加工しづらい |
向いている料理 | 刺身、塩焼き、フライ、ハーブオイルマリネ |
イラが未利用魚になる原因は、熱帯魚のような見た目です。カラフルな色と分厚い体、大きな頭から、美味しそうに見えないということで避けられています。また、鱗1枚が1センチ四方ほどあり、加工しづらいのも難点です。
味は、クセのない上品な白身で、フライにすると身のふわふわ食感を楽しめます。
ウツボ
画像引用元:ウツボ|WEB魚図鑑
名前 | ウツボ |
大きさ | 80センチ~1メートル 個体差がある |
旬 | 冬 |
未利用魚になる理由 | ・ぬめりがあって捌きにくい ・小骨が多い ・見た目が悪い |
向いている料理 | 煮つけ、塩焼き、唐揚げ |
ウツボも、その見た目と、小骨が多くて捌きにくいという理由から未利用魚となっています。漁獲量も少ないため、全国的に流通することもありません。
そんなウツボは、高タンパク質で、鉄分が多く含まれています。コラーゲンが豊富で美肌効果もある魚です。
オジサン
画像引用元:オジサン|WEB魚図鑑
名前 | オジサン |
大きさ | 25センチくらい |
旬 | 通年 |
未利用魚になる理由 | ・水揚げ量が少ない ・見た目と名前のイメージ |
向いている料理 | 刺身、コンフィ |
オジサンという一風変わった名前の由来は、あご下にある2本の長いヒゲ。日本の中でも比較的温暖な地域でよく獲れます。しかし狙って獲れる魚ではないため、水揚げ量が少なく、流通しづらい点が未利用魚となる原因です。
上品な白身のオジサンは、シンプルに刺身で頂くと、素材本来の旨味を堪能できます。
カゴカキダイ
画像引用元:カゴカキダイ|WEB魚図鑑
名前 | カゴカキダイ |
大きさ | 20センチ |
旬 | 秋~冬 |
未利用魚になる理由 | ・サイズが小さく調理が難しい ・水揚げ量が少ない |
向いている料理 | 刺身、塩焼き、煮つけ、フライ、かまぼこ |
カゴカキダイは、カラフルな見た目と、捌くには小さいサイズから、未利用魚となっています。漁獲量も少なく、全国のスーパーに並ぶことはほぼありません。
カゴカキダイの特徴は、見た目からは想像もできないほど脂ののった身です。刺身でも塩焼きでも美味しく頂けます。
カジカ
画像引用元:オクカジカ|WEB魚図鑑
名前 | カジカ(オクカジカ、ギスカジカ、オニカジカ) |
大きさ | 15センチ前後 |
旬 | 冬 |
未利用魚になる理由 | ・捌きづらい ・水揚げ量が少ない |
向いている料理 | 鍋 |
カジカと言えば、北海道のソウルフードである「かじか鍋」が有名です。煮込むほどに美味しい出汁がでるカジカですが、種類によっては値がつかない未利用魚となっています。トゲが多くぬめりもあるので、捌くのに技術が必要な魚です。
カジカを美味しく食べられる加工品はこちら
カナガシラ
画像引用元:カナガシラ |WEB魚図鑑
名前 | カナガシラ |
大きさ | 30センチ |
旬 | 秋~初春 |
未利用魚になる理由 | ・定量的に獲れない ・下処理に時間がかかる |
向いている料理 | 刺身、煮つけ、塩焼き、干物 |
カナガシラはホウボウの仲間です。見た目はホウボウに似ていますが、ホウボウよりサイズが小さく、値が付きにくい魚です。頭が大きくて食べられる部分が少ない、捌きにくいなどの理由で未利用魚となっています。
カナガシラの白身は旨味が強く、良い出汁が出ます。
カナガシラを美味しく食べられる加工品はこちら
SpiSea Blue【南インド風カナガシラのココナツカレー】
コショウダイ
画像引用元:コショウダイ |WEB魚図鑑
名前 | コショウダイ |
大きさ | 50センチ弱 |
旬 | 通年(美味しいのは冬) |
未利用魚になる理由 | ・水揚げ量が少ない ・見た目が悪い |
向いている料理 | 刺身、煮付け、ムニエル、塩焼き、あら汁 |
体全体にある黒い斑点が胡椒のように見えることから、コショウダイと名付けられました。コショウダイは、見た目の悪さと、水揚げ量の少なさから未利用魚となっています。
色と柄を除けば鯛に味がそっくりなコショウダイは、刺身でも塩焼きでも美味しく頂けます。もちろん、煮付けにしても絶品です。
コノシロ
画像引用元:コノシロ|WEB魚図鑑
名前 | コノシロ |
大きさ | 10センチ~ |
旬 | 冬 |
未利用魚になる理由 | 成長すると骨が硬くなる |
向いている料理 | 酢締め、唐揚げ、甘露煮 |
コノシロは、シンコ→コハダ→コノシロと名前を変える出世魚です。一般的な出世魚は成長とともに価値が上がっていきますが、コノシロは逆。戸前寿司の高級ネタとして喜ばれるシンコやコハダと違い、硬い小骨が目立つコノシロは、未利用魚になってしまうのです。
そんなコノシロのおすすめの食べ方は、酢の力で小骨を柔らかくできる酢締めです。また、甘露煮にすれば、コノシロを硬い骨まで丸ごと味わえます。
コノシロを美味しく食べられる加工品はこちら
コノシロのやわらか煮
シイラ
画像引用元:シイラ|WEB魚図鑑
名前 | シイラ |
大きさ | 大きなものは1メートルを超える |
旬 | 秋~冬 |
未利用魚になる理由 | 見た目 |
向いている料理 | フライ、ムニエル |
シイラはかつて、その奇抜な見た目から避けられてきましたが、見た目からは想像できない美味しさが注目されるようになり、人気が出てきた魚です。秋や冬に獲れる新鮮なシイラは、脂がのっていて、刺身にしても美味しく頂けます。
最近になって食べられるようになったシイラ。未利用魚の可能性を感じさせてくれる魚として、今回、一覧に掲載しました。
タカノハダイ
画像引用元:タカノハダイ | WEB魚図鑑
名前 | タカノハダイ |
大きさ | 30センチ前後 40センチになるものもある |
旬 | 冬 |
未利用魚になる理由 | ・時期や処理の仕方によって磯臭い ・水揚げ量が少ない ・見た目が美味しそうではない |
向いている料理 | 塩焼き、煮つけ |
タカノハダイの名前の由来は、体を斜めに走る黄色い模様。この模様が鷹の羽のようだということから名前が付けられました。模様が濃いほど脂がのっている証拠です。
昔は磯魚の代表格としてよく食べられていましたが、磯臭さが理由で未利用魚になっています。
特に夏は磯臭さが強いので、冬のタカノハダイを狙いましょう。
ニザダイ
画像引用元:出典:ニザダイ |WEB魚図鑑
名前 | ニザダイ |
大きさ | 30センチ~40センチ |
旬 | 冬 |
未利用魚になる理由 | ・内臓が臭い ・皮が硬く加工しづらい ・足が早い |
向いている料理 | 昆布締め、煮つけ、ムニエル |
ニザダイは、海藻類を食べるので内臓が臭いのが難点です。また、鱗はありませんが、包丁が入らないほど皮が硬く、加工しづらいことも未利用魚となっている原因です。
旬のニザダイは、獲れてすぐに下処理をすれば美味しく食べられます。脂ののった白身は、和風の味付けと相性良しです。
ニザダイを美味しく食べられる加工品はこちら
五島のフィッシュハム
ホウライヒメジ
画像引用元:ホウライヒメジ|WEB魚図鑑
名前 | ホウライヒメジ |
大きさ | 35センチ |
旬 | 夏 |
未利用魚になる理由 | ・水揚げ量が少ない ・見た目 |
向いている料理 | 刺身、塩焼き、煮つけ |
ホウライヒメジは、オジサンとよく似ていて、キンタロウとも呼ばれる魚です。ヒメジ科の魚をまとめてオジサンと称することもあります。
ホウライヒメジの刺身は、上品な甘みと、歯ごたえを楽しめます。
ボラ
画像引用元:ボラ | WEB魚図鑑
名前 | ボラ |
大きさ | 40センチ~50センチ |
旬 | 冬 |
未利用魚になる理由 | 臭いイメージがある |
向いている料理 | なめろう、ハーブオイルマリネ、煮つけ、ムニエル、ホイル蒸し、唐揚げ |
ご存知のとおり、ボラの卵巣は高級珍味として知られるカラスミの原料です。一方、身の部分は「臭そう」というイメージから、利用されていないのが現状です。実際にボラは汚い水でも生きられるため、獲れる場所によっては臭さが目立ちます。
食べるときは、沖合で獲れる沖ボラを選びましょう。カラスミを取ったあとの身も、脂がのって食感も良く、どんな料理でも美味しく頂けます。
マトウダイ
画像引用元:マトウダイ|WEB魚図鑑
名前 | マトウダイ |
大きさ | 30センチ~40センチ、小さいものは25センチ |
旬 | 冬 |
未利用魚になる理由 | ・頭が大きく食べられる部分が少ない ・骨の入り方が独特で加工しづらい |
向いている料理 | 刺身、カルパッチョ、ムニエル、肝醤油、煮付け、塩焼き、酒蒸し、アクアパッツァ |
体の中央にある模様が的のように見えることから、マトウダイと呼ばれています。針金のような背びれも特徴的です。骨の入り方が独特で、包丁を斜めに入れないと捌けないため、敬遠されがちな魚です。
そんなマトウダイは、実はフレンチでは高級食材。シタビラメと並んで、ムニエルの食材として使われています。旨味も甘みもあるマトウダイは、どんな料理でも美味しく頂けます。
ミシマオコゼ
画像引用元:ミシマオコゼ|WEB魚図鑑
名前 | ミシマオコゼ |
大きさ | 20センチくらい |
旬 | 冬 |
未利用魚になる理由 | 水揚げ量が少ない |
向いている料理 | 煮つけ |
細かい斑点模様が特徴的なミシマオコゼ。模様がはっきりしているほど鮮度が良い証拠です。漁獲量が少ない・安定しないことが原因で未利用魚となっています。
煮つけにすると、ゼラチン質の皮と、弾力のある身を味わえます。
ミノカサゴ
画像引用元:ミノカサゴ|WEB魚図鑑
名前 | ミノカサゴ |
大きさ | 20センチ~ |
旬 | 春の終わり~秋 |
未利用魚になる理由 | 強い毒がある |
向いている料理 | 煮つけ |
ミノカサゴの体はピンク色で黒い線のような模様があります。ヒレを広げると、まるでクジャクのようです。
背中、腹、尻尾、全身のヒレに強い毒があり、その毒性は、ハブの20倍とも言われていいます。危険な部分を取り除けば、身はカサゴと同じく絶品です。
日本には個性豊かで美味しい未利用魚がたくさん!
いかがでしたか?気になる未利用魚はチェックできたでしょうか。
多くの未利用魚は、見た目や捌きにくさ、漁獲量の少なさから、これまでほとんど流通してきませんでした。知名度が低く、食べられていないだけで、美味しい魚であることは間違いありません。
未利用魚を有効活用すれば、「もったいない」が解消され、日本の漁業を守ることにも繋がります。わたしたち消費者にとっても、食べられる魚が増えて、食卓が豊かになるのは嬉しいですよね。
未利用魚やその加工品は、通販サイトやサブスクサービスで購入できます。この機会に、日本で獲れる美味しい未利用魚を、ぜひ味わってみてください!