北海道は東にある、人口5,000人ほどのエリア標津町。
その小さな町から、車で5分程度の場所に標津遺跡群はあります。
3つの大きな遺跡群を総称して、その名前がつきました。
遺跡には、日本最大の竪穴住居跡が残っており、毎年多くの観光客が訪れています。
約1万年以上前から、現存する遺跡群では、当時の暮らしを目の当たりにできます。
今回は、標津町が誇る標津遺跡群の魅力や、最大限楽しむ方法をまとめました。
観光を考えている人は、ぜひ参考にしてください!
もくじ
標津町に残る日本最大の竪穴住居跡群「標津遺跡群」
標津遺跡群は、北海道標津町にある遺跡群です。
3つの遺跡で構成されており、それぞれ以下のとおりです。
【標津遺跡群】
- 伊茶仁カリカリウス遺跡
- 古道遺跡
- 三本木遺跡
また、伊茶仁川周辺にある竪穴住居群も含めた総称を、標津遺跡群と呼びます。
標津遺跡群の最大の見どころは、縄文・弥生時代の生活をほうふつとさせるような、竪穴住居跡群です。
遺跡内の地表面からは、竪穴住居のくぼみが観察でき、伊茶仁カリカリウス遺跡だけでも2,000以上のくぼみがあります。
その規模は、日本最大級とされています。
今回、観光を考えている方のために、それぞれの遺跡群の詳細と、おすすめポイントをまとめました!
1万年以上の歴史が当時のまま保存されている光景、その目でぜひ確かめてみてください。
伊茶仁カリカリウス遺跡
伊茶仁カリカリウス遺跡は、国が指定する史跡です。
日本最大規模の竪穴住居が特徴的で、発見されたくぼみだけでも2,500か所。
また、本来竪穴住居は、写真のような形を想像する方も多いと思います。
しかし、伊茶仁カリカリウス遺跡の竪穴住居跡は、地表に埋まりきらず、くぼみとして確認できます。
その歴史は長く、調査の結果1万年前以上のものとわかりました。
標津町は自然あふれる地域であり、伊茶仁カリカリウス遺跡付近も、木々が生い茂っています。
1万年以上も変わらず、同じ形を保っていることを考えると、いかに標津町並びに遺跡群周辺の自然が豊かだったのかがわかります。
伊茶仁カリカリウス遺跡の見どころは、以下のとおりです。
【伊茶仁カリカリウス遺跡の見どころ】
- 標津湿原
- わき水の泉
- ミズナラの巨木
- ヒカリゴケ
広大な土地にある伊茶仁カリカリウス遺跡。
訪れた際は、見どころをしっかり押さえて、散策してくださいね!
【伊茶仁カリカリウス遺跡の基本情報】
所在地 | 北海道標津郡標津町伊茶仁 |
営業時間 | 9:00~17:00(入園は16:30まで) |
定休日 | 11月24日〜4月28日までは冬季休業 |
お問い合わせ | 0153-82-3674(ポー川史跡自然公園の番号) |
アクセス情報 | 標津町から車で5分(標津湿原から少し歩きます) |
標津湿原
伊茶仁カリカリウス遺跡から、ほど近い場所にある標津湿原。
湿原にしか咲かないシャクナゲやコケモモといった、花が彩ることで、毎年春先から夏にかけて多くの観光客が訪れるスポットです。
散策をする場合は、道が用意されているので、その道に沿って進むことをおすすめします。
晴れた日には、青空と湿原に広がる緑がいいコントラストになり、気持ちよく散策できます。
散歩スポットとしても有名で、観光に訪れた際は、標津湿原を通って伊茶仁カリカリウス遺跡に訪れてください!
わき水の泉
伊茶仁カリカリウス遺跡には2,500以上の竪穴住居群がありますが、一か所に集中して住居群があるのは、わき水が関係しています。
遺跡周辺には、武佐岳の水脈から流れ出たわき水を確認でき、見つかっているスポットだけでも80か所以上あるとされています。
また、武佐岳の地熱の影響もあり、水温は5度をキープしており、雪が激しく降る真冬の環境でも、川が凍結することはありません。
冬場になると、わき水の泉を散策できるスノーシューも楽しめます!
春や夏には緑が生い茂る自然を満喫できますが、冬は一面雪で白く染まった雪化粧を楽しめるスポットです。
ミズナラの巨木
伊茶仁カリカリウス遺跡付近には、ミズナラの木が自生しています。
戦争時の開拓に伴い、一時は伐採されましたが、現在でも多くのミズナラの木が残っています。
そのなかでも、見どころの一つでもある「ミズナラの巨木」。
樹齢は推定500年以上とされており、その大きさから観光名所になっています。
写真では伝わらない魅力が、ミズナラの巨木にはあります。
その雄大さを、伊茶仁カリカリウス遺跡を散策しながら、ぜひあなたの目で確かめてみてください!
ヒカリゴケ
伊茶仁カリカリウス遺跡には、竪穴住居群のくぼみだけではなく、当時の竪穴住居を再現したスポットもあります。
その内部には、特定の環境でしか確認できないヒカリゴケが自生しています。
ヒカリゴケは、寒冷地に多く生息しており、道内や標高が高い山などに生えていることが多いです。
ヒカリゴケ自体は発光生物ではなく、通常のコケと同様です。
しかし、ほかのコケとは違って、光を強く反射する特性を持っているため、竪穴住居内に自生しているヒカリゴケは、外の光を反射して黄緑色に光ります。
例年5月から10月が見どころとされており、緑色が鮮やかに光る7月が一番の見頃です。
竪穴住居は日陰になっているため、夏場でも内部は涼しさを感じます。
住居内で一休みしつつ、鮮やかに光るヒカリゴケを観察してみてください!
古道遺跡
伊茶仁カリカリウス遺跡から、やや離れた場所にある古道遺跡。
付近には標津川が流れており、約200箇所の竪穴住居跡群と、コの字で形成されたチャシがあります。
(チャシ:アイヌ語で柵や囲いを意味する)
古道遺跡は、標津川の左岸から標高12mほどの台地にある集落遺跡です。
その遺跡は縄文時代からのものと推測されています。
草木が生い茂る場所に遺跡はあり、伊茶仁カリカリウス遺跡ほどの広さはありませんが、同様に当時の生活を観察できます。
標津遺跡群をめぐる際は、合わせて観光しましょう!
【古道遺跡の基本情報】
所在地 | 北海道標津郡標津町標津 |
営業時間 | 24時間営業 |
定休日 | なし |
お問い合わせ | なし |
アクセス情報 | 標津町から車で5分 |
三本木遺跡
三本木遺跡も、古道遺跡同様に、縄文時代から続縄文時代からのものと推測されており、伊茶仁カリカリウス遺跡からほど遠くない場所にあります。
Wikipediaより引用すると、以下のように説明されています。
三本木遺跡は、標津川の左岸に発達した海岸砂丘上に立地するオホーツク文化期の五角形ないし六角形の21軒分の竪穴建物跡が地表から観察され、下層に続縄文文化の遺構の存在が確認された。
引用元:標津遺跡群(Wikipedia)
オホーツク文化の集落遺跡ということもあって、当時のアイヌ文化の形成に大きく関係しています。
北海道とアイヌの関係は根強く、標津町の名前のルーツにもなっています。
(標津=シ[大きい]ベツ[川])
その歴史を紐解く意味でも、三本木遺跡は非常に重要です。
竪穴住居跡群のくぼみを観察できるので、当時のアイヌ文化をその目でぜひ確かめてみてください!
【三本木遺跡の基本情報】
所在地 | 北海道標津郡標津町北9条西2 |
営業時間 | 24時間営業 |
定休日 | なし |
お問い合わせ | なし |
アクセス情報 | 標津町より車で3分 |
最大限標津遺跡群を楽しむ方法
標津町有数の観光スポットである、標津遺跡群。
最大限楽しみたいなら、以下の方法があります。
【最大限標津遺跡群を楽しむ方法】
- 自然を感じながら標津湿原を散策
- 竪穴住居で歴史を感じる
正直、遊園地や水族館のような、エンタメ性はありません。
しかし、標津湿原が広大に広がる様子や、遺跡群周辺に自生する木々や草花の様子は、形容しがたいほどきれいです。
写真には収まり切れないほど、鮮やかさがそこにはあります。
自然が織りなすパワーを、ぜひ体験してみてください。
自然を感じながら標津湿原を散策
標津遺跡群を楽しむうえで、もっとも重要なことは自然を楽しむことです。
例えば、伊茶仁カリカリウス遺跡周辺には、ミズナラの木が自生しています。
巨木の雄大さを感じながら、遺跡周辺を散策すると、それだけでパワーがもらえます。
さらに、標津湿原は、夏場は一面が緑で生い茂るため、さながら自然が作り出すカーペットのようです。
標津湿原から、伊茶仁カリカリウス遺跡・竪穴住居跡群を見渡せば、地平線が広がっています。
その光景に目を奪われ、人によっては湿原散策中に思わず足を止めてしまうとか。
もし、標津遺跡群を訪れる際は、ぜひとも天気がいい時をおすすめします!
四季に応じて景色が変わることも特徴の一つなので、年中楽しめる観光スポットです。
竪穴住居で歴史を感じる
伊茶仁カリカリウス遺跡付近には、当時の生活の様子を再現した竪穴住居群があります。
住居内には、前述したヒカリゴケが自生しており、黄緑に光る様子は非常に幻想的です。
ちなみに、標津遺跡群ではガイドウォークも行っています。
ガイドウォークでは、標津湿原をガイドとともに散策できるほか、標津遺跡群の歴史的背景を知れるツアーになっています。
また、天候の条件によっては、北海道に生息するエゾシカやキタキツネを見ることもできるとか!
歴史が好きな人や自然が好きな人、標津でアウトドア体験をしたい人は、非常におすすめな楽しみ方です!
標津遺跡群周辺のおすすめ観光スポット
標津遺跡群周辺には、おすすめの観光スポットがいくつかあります。
早朝から遺跡群や湿原を散策した後は、ぜひ以下の観光スポットにも訪れてください!
【標津遺跡群周辺のおすすめ観光スポット】
- 標津サーモン科学館
- 遠音別岳の見返りキツネ
子どもから大人まで楽しめるスポットなので、観光を考えている人は必見です!
標津サーモン科学館
北海道でも有数のサケの水揚げ量を誇る標津町。
標津遺跡群から、車で5分程度の場所に、標津サーモン科学館はあります。
通称サケの水族館といわれており、サケ科の魚が多く展示されています。
そのほかにも、標津川や道内に生息する魚が展示されており、標津遺跡群に次ぐ標津町の有名観光スポットです。
また、標津サーモン科学館では、体験コーナーもあります。
歯がないチョウザメに指を食べられたり、ドクターフィッシュに古い角質を食べられたりと、水族館でしか楽しめないことが盛りだくさんです。
そして、同じ敷地には「まちの駅 標津サーモンプラザ」もあります。
標津サーモンプラザは、標津のグルメを凝縮したスポットであり、レストランでは標津港でとれた海鮮をふんだんに使ったパスタやピザが堪能できます。
物販コーナーには、標津町の特産品が多く販売されているため、標津を満喫したい人はぜひ遺跡群を訪れた後に、立ち寄ってください!
【標津サーモン科学館の基本情報】
所在地 | 北海道標津郡標津町北1条西6丁目1−2 |
営業時間 | 9:30 – 17:00(入館受付は16:30)まで |
定休日 | 2月・3月・4月・11月(水曜日は休館) 12月〜1月は冬季休館 |
お問い合わせ | 0153-85-7125 |
アクセス情報 | 根室中標津空港から車で25分中標津~標津→20分釧路~標津→120分根室~標津→95分網走~標津→120分標津~知床→70分 |
遠音別岳の見返りキツネ
標津遺跡群から北側・北西の方角を見ると、遠音別岳が確認できます。
遠音別岳には雪が積もりますが、冬から春にかけて(2~5月)特別な景色を楽しめるスポットです。
残雪が「振り返ったキツネの姿」に見えることから、地元では「遠音岳の見返りキツネ」の愛称で親しまれています。
該当する時期に標津遺跡群に観光した際は、ぜひ北側・北西の方角を見て、見返りキツネの姿を確かめてくださいね!
まとめ
1万年以上、その姿を変えずに、歴史として現存している標津遺跡群。
当時の生活の様子が確認できるほか、自然が作り出した雰囲気は、実際に訪れないと味わえません。
今も遺跡が残り続けているのは、周辺地域の自然の豊かさが多く関係しています。
地元民の憩いの場としても人気がありますが、標津町の観光スポットとしても人気です。
もし、標津遺跡群に行くことがあれば、その自然を身体で体感してください。
訪れないとわからない雰囲気や、歴史的背景がそこには隠れています。