「標津ってどんな場所?」
「標津を観光するにはどこに行けばいい?」
広大な大地の広がる北海道へ旅行する方の中には、標津を観光するにあたってこのような悩みを抱える方も多いでしょう。
本記事では標津の町の魅力やおすすめの観光スポットをご紹介します。ポー川付近にある釣り場から家族で楽しめる体験プログラムまで幅広く解説するので、今後の旅行のプランが決めやすくなるでしょう。ぜひ参考にしてくださいね。
標津ってどんな場所?
北海道にある標津町は海や山、川など広大な自然が広がる豊かな町です。人口はおよそ5,000人ほどで鮭の漁獲が活発に行われています。昭和60年には秋鮭の漁獲量がはじめて1万トンを超え、日本一の水揚げ量を記録しています。
標津町は鮭の漁獲量の高さにより産業や食、生活面でさまざまな恩恵を受けているのが特徴です。ここでは、歴史的文化や遺跡が残る町として知られる標津についてご紹介します。
北海道の最東端に位置する
標津町は根室管内の中心部に位置する町です。右は根室半島、左には日本最後の秘境と呼ばれる知床半島が広がっています。正面にはオホーツク海が見え、洋上わずか24km先には北方領土の四島の1つである島国後島が見えるでしょう。
さらに付近には本町を基盤に砂の陸地である野付半島や広大な大地の広がる根釧原野もあり、自然の豊かさを感じられます。また鮭を中心とする漁業が盛んで、豊かな海と大地の地形を生かし「生産の町」として発展を続けてきました。
標津川流域は肥沃な大地が広がり牧場にも適しています。標津町は今もなお、漁業農業ともに安定した生産を続けており、自然と共に生きている町となっています。
標津は日本遺産がある町
標津町には、令和2年6月に文化庁に日本遺産として認定されている「鮭の聖地」の物語〜根室海峡一万年の道程〜というストーリーがあります。鮭の聖地のストーリーでは、北海道最東の根室海峡で1万年も前から水揚げされ、人々の暮らしを支えてきた鮭の魅力が語られています。
1万年も前から人々の暮らしの支えとなった鮭は江戸時代には将軍家として献上された高級品となり、1877年には産業化を目指し日本初の本格缶詰の製造が行われ、日本の産業発展に大きく貢献してきました。そして鮭の缶詰製造によりそれぞれの街が発展していき、昭和初期までには日本の貿易や漁業を支えてきました。かつて高級魚とされていた鮭は、現在は日々の食事に欠かせない食材の1つとなっています。
現在は公式YouTubeチャンネルでも世界中に鮭や標津の魅力を発信していますよ。
また、日本遺産に加えて標津の鮭の文化と自然遺産ポー川史跡自然公園が自然資源としてNPO法人の「日本で最も美しい村」連合に登録されています。
標津町にはこのようなストーリーだけでなく、鮭の聖地を体験できるさまざまな観光スポットやアクティビティが充実していますよ。
アイヌとの繋がりが深い町
アイヌ語で「サケのいるところ、シ(大きい)ベツ(川)、または本流」という意味をもつ標津町は、さまざまなアイヌの歴史や文化が語り継がれている町です。また、標津伝説という大正時代に実際に起こった歴史上の出来事や、標津各地で起こった歴史の物語も語り継がれています。 標津町のポー川史跡公園には、北方住民が暮らしていたとされる住居が自然の中にそのままの状態で残っており、アイヌの歴史の深さを感じられる場所もあります。
標津ポー川付近のおすすめ観光スポット3選
標津のポー川付近には自然あふれるさまざまなスポットがあります。その中でもとくにおすすめのスポットは、以下の3点です。
ポー川標津史跡自然公園
標津川歴史民俗資料館
標津史跡群伊茶仁カリカリウス遺跡
どのスポットも自然を感じながら先住民の歴史やルーツを学べる貴重な場所となっています。また、これらのスポットはすべて1つの施設内にあり、各スポットを巡りやすいのが魅力。
施設の入場料も一般の方は330円、大学生や高校生は110円、中学生以下は無料と手頃な価格なのもうれしいポイントですね。では、各地の特徴について順番に解説します。
1.ポー川史跡自然公園
ポー川史跡自然公園は、根室海峡へと流れるポー川に面した自然公園です。「北海道開拓以前の文化的景観を体験・体感できる場所」がコンセプトで、1万年前の人々の暮らしが続いた古代遺跡や、その周辺にある標津湿原の自然を味わえるのが魅力です。
公園内はおよそ630haもの環境保護区域があり、その一部のみ一般に公開されています。一般公開されている場所では、さまざまな地形や珍しい植物の観察ができるでしょう。
そのほかにも公園内には先住民たちの歴史や文化に触れられる「カリカリウス遺跡」や、天然記念物である「標津湿原」の2つの国指定文化財が保存されています。
また、開拓時代の建物が復元されている「開拓の村」や、標津の自然や歴史について学べるビジターセンターも併設されています。そのため、大自然に触れながらアイヌ文化のルーツや1万年前から続く鮭との関わりも学べるでしょう。
2.標津町歴史民俗資料館
標津町歴史民俗資料館では、史跡標津郡と天然記念物標津湿原の調査成果や町の歴史についての資料が展示されています。中には当時使われていた道具や、植物や動物の模型などもありますよ。
また、伊茶仁カリカリウス遺跡のガイダンス施設も兼ね備えており、昔のアイヌ人の生活や文化を学べるのが特徴です。
屋内施設のため、雨の日でも楽しめるのもうれしいポイントですね。さらに事前に申し込めば原始河川のポー川カヌー体験や標津湿原のガイドウォーク体験も行えます。
3.標津史跡群伊茶仁カリカリウス遺跡
アイヌの先住民が住んでいたとされる竪穴住居群が見られる標津史跡群伊茶仁カリカリウス遺跡もおすすめ。アイヌ語で「イチャン」(鮭が産卵する場所)を意味し、昔から鮭が豊富に取れる場所として認識されていました。
標津史跡群伊茶仁カリカリウス遺跡には、古代の竪穴住居跡が土の中で埋まりきれずに地表面に窪みとして出てきており、遺跡内には国内最大の2,549箇所もの窪みがあります。残雪の時期であれば窪みの部分のみに雪が残り、美しい風景が見られるでしょう。これは北海道の中でもとくに寒い地域だからこそ見られる現象となっています。
この窪みはおよそ1万年前から途切れることなく人々が暮らし続けた証となっており、長きにわたって人々の暮らしを支えてきた標津の自然の豊かさを感じられる場所となっています。
標津町ポー川付近のおすすめ体験プログラム3選
標津川には見て楽しむ観光スポットだけでなく、さまざまな体験プログラムが充実していますよ。ここでは、その中でもおすすめのプログラムを3つご紹介します。おすすめのプログラムは以下の3つです。
原始河川ポー川カヌー
標津遺跡群ガイドウォーク
新巻鮭作り体験
子どもから大人まで幅広い世代で楽しめるでしょう。では、順番に解説します。
1.原始河川ポー川カヌー
原始河川ポー川カヌーは、5〜11月の上旬の間に開催される標津遺跡群の傍を流れるポー川の道を、カヌーで進むアクティビティです。
現在は天然記念物に指定されており、1万年もの歴史をもつ古くからの遺跡がそのままの状態で残っている手付かずの川を、カヌーに乗りながら巡れます。通常は立ち入りが禁止されており、このプログラムでのみ川を巡れるため、貴重な体験ができるでしょう。
静かな川の流れとともに鳥のさえずりを聞きながら穏やかな時間が過ごせます。また地元の方のガイド付きでカヌーの乗り方だけでなく、ポー川の歴史まで学べますよ。小さな子どものいる家族も楽しめるでしょう。
2.標津遺跡群ガイドウォーク
標津遺跡群ガイドウォークでは、自然のままの状態で維持された遺産を目の前で体験できますよ。5〜11月の間で開催されており、およそ2時間半かけて世界最大規模の古代住居跡群である標津遺跡群と、標津湿原を巡り歩く体験プログラムです。
標津湿原は、高層湿原と中間湿原が大部分を占めており、河川水の影響を直接受けず雨や霧、雪のみで水の供給が行われている珍しい湿原となっています。
当時のまま残ったアイヌの住居跡や暮らしの様子を、湿原の真ん中を歩きながら見学できるのが魅力。歩いている道中では北海道にしかない珍しい植物やミズナラの巨木なども見つけられますよ。
運が良ければ野鳥や蝦夷鹿、キタキツネなどの野生動物に出会えるチャンスもあるでしょう。天候によっては中止となる可能性もあるので、事前に天気などをチェックしておくと良いですよ。
3.新巻鮭作り体験
鮭を丸ごと1匹使って調理を行うのが特徴の新巻鮭作りは、お土産にもぴったりです。9〜11月中旬頃に開催されます。贈答品として人気の新巻鮭作りの体験ができるプログラムで、丸ごとの鮭を解体する作業から体験できますよ。
普段なかなか目にすることのない切り身になる前の状態の鮭を自分で調理できるのもポイント。さらに鮭のオスやメスの見分け方や鮭の特徴についてのレクチャーもあり、実際の鮭を観察しながら学べます。
調理した鮭は数日間熟成させた後に自宅への配送も可能です。また配送日の調節も可能なので、お土産や贈答品として贈るのにも良いでしょう。追加料金を支払えば三枚おろしも体験できますよ。
標津川周辺での釣りもおすすめ
標津町はさまざまな体験プログラムや観光スポットがあるだけでなく、釣り場の数の多さも特徴です。ここでは、その中でもおすすめの釣りスポットをご紹介します。おすすめの釣りスポットは以下の3つです。
尾岱沼の漁港
標津「海の公園」
忠類川
鮭だけでなくいろんな種類の魚が釣れるうえ、初心者の方から上級者の方まで楽しめる釣り場の場所も充実しているので、釣り場探しの参考にしてくださいね。
尾岱沼の漁港
北海道野付郡別海村にある尾岱沼漁港は、敷地面積の広さが魅力。さまざまなサイズの魚が釣れるので魚好きの方にぴったりなスポットです。釣れる魚は鮭以外にもアイナメやカジカ、カワガレイやニシンなども釣れますよ。駐車場月なので家族連れの方にも便利です。
冬になると水面が凍結し、氷上での穴釣りも行えます。鮭を釣りたい方は8月中旬頃から10月頃がおすすめです。付近にはコミュニティセンターや直売所などもありますよ。
一方で、鮭が釣れる期間は釣りをする方も増えるため、混雑が予想されるのでトラブルなどに注意しましょう。
標津「海の公園」
海の公園ではオートキャンプと併設されている公園内の堤防で釣りができます。4月〜12月の期間で解放されており、ガイドレクチャーもついているので初心者の方でも簡単に楽しめます。また、道具もレンタルできるため、手ぶらで楽しめるのもうれしいポイントですね。
海の公園の堤防では主にカレイやコマイが釣れます。釣った魚は持ち帰りができるので、近くのキャンプ場でバーベキューに使うのも良いでしょう。
さらに付近には建物内に宿泊できる「バンガロー」や車を横付けできる「オートサイト」、テントを自分で設営して宿泊できる「フリーサイト」の3種類の宿泊スペースも兼ね備えています。
カモメの鳴き声を聞きながら穏やかに釣りができるうえ、キャンプも合わせて楽しめるので家族連れの方におすすめです。
忠類川
蛇行した自然の地形を生かした釣り場の忠類川もおすすめ。アイヌ語で「激しい流れ」という意味の川で、水の透明度の高さが魅力。1995年には国内ではじめて川で鮭釣りが楽しめる場所として話題となりました。
8月中旬頃からはカワマスの遡上が始まり、9月初旬にはシロサケの遡上も見られるでしょう。敷地内には自転車が用意されており、乗り捨てできるため、移動するのに便利です。
現在は自然保護により全域がリリース区域となってしまっているので、持ち帰らないように注意しましょう。
なお、死亡した魚や弱ってしまった魚のみは1人1日2尾まで持ち帰りが可能です。忠類川で釣りを行う際には事前に申し込みが必要なので、前もって確認するようにしましょう。
また、2024年シーズンの鮭釣りは秋鮭の資源減少により中止となっています。再開についてやほかの魚が釣れるかどうか気になる方はお問い合わせいただくか、随時ホームページ上でお知らせされるため、定期的にチェックしておきましょう。
釧路川
標津町から車でおよそ1時間ほどの場所にある釧路川でも釣りを楽しめます。釧路川は国内最大規模のカルデラ湖である屈斜路湖と海を繋ぐ川で、豊かな自然の広がる風景が特徴です。また運がよければ野生の蝦夷鹿やキタキツネに出会えることも。
釧路川の最下流である新釧路川の釣り場はひらけた場所にあり、車でのアクセスもしやすいのが魅力。おすすめの時期はアメマスが活発になる4〜5月で、アメマス以外にもヤマメやニジマスなどが釣れますよ。
新釧路川のシシャモや塘路湖漁協の管轄するシラルトロ沼や塘路湖、エオルト沼やポント沼、マクントウ沼、サルルト沼流入河川にいるワカサギやコイ、アメマスには漁業権が設定されています。漁業権について詳しく知りたい方は釧路市にお問い合わせください。
また冬や雪の残る時期に釧路川で釣りを行う際は氷のせり出しが多く、誤って踏み外さないように注意しましょう。
ポー川付近の熊の出没に注意
標津町の観光時には、ヒグマの出没情報をしっかりと確認しておきましょう。ヒグマは北海道のみに生息する野生動物で、日本最大の陸生哺乳類です。
北海道の山であればどのような場所にも生息しているので、場合によっては遭遇してしまう可能性もあります。そのため、クマスプレーや鈴や笛など、音のなるものを携帯するのがおすすめ。
また、ポー川史跡自然公園は敷地内が国の史跡天然記念物になっているだけでなく、動植物の保護区域にもなっています。
一般開放されているエリアは狭いもののヒグマの生息地にもなっているので、ヒグマの出没状況によっては予告なしで入園規制が行われることもあります。そのため、観光時には事前に情報をチェックしておきましょう。
万が一熊に遭遇してしまった場合には、そのままゆっくりと来た道に戻るようにしてください。
まとめ
本記事では、標津の魅力や付近のポー川で楽しめる観光スポットや体験プログラムなどを解説してきました。
さまざまな魅力あふれる標津では、1万年前のアイヌの暮らしなどを感じられる施設だけでなく、新巻鮭作りや標津遺跡群ガイドウォークといったアクティビティも充実しています。
また、初心者や小さな子どもでも楽しめる釣り場などもあるので、気になる方はぜひ行ってみてくださいね。